あの時の…
先日原宿の竹下通りで立ち止まってクレープを食べていた時、10代の男の子のグループがナンパ(今でも使うのか?この言葉は…)を計画し、実行し、失敗し、落ち込む…という一部始終を見学させてもらった。
なんだか可愛くて笑ってしまった。
私も勿論ナンパというものはされたことはあるが、ついて行ったことなどない。
しかし銀行員時代、社員旅行で温泉に行ったとき、大きな旅館の中で別団体の3人組に声をかけられたのは、今でも忘れられない珍しい思い出となっている。
「こんばんは。お風呂行くんですか?俺たちも行くんですけど、混浴入りません?」
はあ~~~~~?は・い・る・わ・け・ないじゃんか~~~~~!
無視して行こうかと思ったら、その中の一人が
「こいつ、甲子園に出て、いつか絶対プロ野球選手になるんで、価値ありますよ」
昨日のブログで触れたとおり、野球大好きな私。
混浴に入るつもりはないが、ちらりと顔を見てしまう。
可愛くて背が高くて、高校出たばかり?みたいな男の子だった。
「どこの高校だったの?」「前橋商業」
いかんいかん、こんな軽薄な誘いをしてきた連中の話にのってしまった。
しかし聞きたい。
「ピッチャー?」「うん」
「えー、甲子園出たんだ…、で?」「え?野球好きなの?」
なんとなく話し始めてしまった。
気がつくと、お互いの友人はいなくなり、二人でロビーのイスに座り、話し込んでしまった。
高校時代の練習のことや、甲子園のこと、社会人のチームのこと、もう野球好きの私にとっては興味のある話ばかりだった。
彼にとって、プロ野球は、少年のころに見た「夢」ではなく、限りなく現実に近いものであるということがよくわかった。
それに対し、別に憧れてなったわけではない銀行員の私は、とても羨ましく思った。
「私も前は球場でうぐいす嬢をやるのが夢だったんだ…。」
「なんで?今からでもやればいいじゃん!」
「無理に決まってるでしょー?」
私の仕事は、毎日お客さんと窓口で話す仕事。それはそれで気に入っていた。
「名前覚えておくね。プロ野球で活躍したら応援に行くね!」
多分1時間以上話し、しっかりと彼の名を頭に刻み、でも、自分は名乗ることもなく、そして電話番号も交換せずに別れた。
それから半年。
別に、彼の言葉がきっかけになったわけではないが、私は文化放送スポーツ部のテストを受け、うぐいす嬢ではないが、夢にみることさえなかった、プロ野球のレポーターになった。
そして数年後、ドラフトの指名選手の中に彼の名を見つけた。
社会人からだったので、1年目から1軍入りし、遂に西武球場にやって来た。
「こんにちは!」
試合前の練習の時間に、ニコニコと声を掛けた。わかるわけはない。
「覚えてないよね~?」
「え?」
彼は、少し慌てて思い出そうとしているが、たった1時間話しただけの一介の銀行員を覚えているわけはない。
「昔、温泉で『混浴しませんか?』って言われたんだけど…」
それは彼にとっても珍しいパターンだったようで、それだけですぐに思い出した。
「えーーーー?なんで?あの銀行の?覚えてるよー!」
「うん。今、ライオンズのレポーターしてるの」
「夢、叶ったんだー!」
「一足お先に!…そっちも、夢叶ったんだね。ドラフトで、いつ名前出るか…って、ずっと見てたよ」
練習中なので、ゆっくり話すわけにもいかないが、ちょっとだけ思い出話を楽しんで、お互いの仕事に就いた。
なんか感動だった。
前に話したときは、夢一歩手前の社会人野球選手と、夢を見ることすらなかった銀行員。
それが、お客さんが沢山入ったプロ野球の球場で、こうして話をする事ができたのだから…。
それ以来、球場で会うたびに話をしていたが、彼は2軍に行ったり、故障をしたりで、なかなか会えなくなってしまい、私は野球のレポーターから、Jリーグにかわってしまい、それっきりになってしまった。
その後、彼はきちんと復活し、珍しい記録を持つ選手となった。
今もプロ野球界でコーチとしてしっかりと仕事をして頑張っている。
いつかまた、一度ゆっくり話したいなぁ…と思う。
混浴には入らないけどね!
なんだか可愛くて笑ってしまった。
私も勿論ナンパというものはされたことはあるが、ついて行ったことなどない。
しかし銀行員時代、社員旅行で温泉に行ったとき、大きな旅館の中で別団体の3人組に声をかけられたのは、今でも忘れられない珍しい思い出となっている。
「こんばんは。お風呂行くんですか?俺たちも行くんですけど、混浴入りません?」
はあ~~~~~?は・い・る・わ・け・ないじゃんか~~~~~!
無視して行こうかと思ったら、その中の一人が
「こいつ、甲子園に出て、いつか絶対プロ野球選手になるんで、価値ありますよ」
昨日のブログで触れたとおり、野球大好きな私。
混浴に入るつもりはないが、ちらりと顔を見てしまう。
可愛くて背が高くて、高校出たばかり?みたいな男の子だった。
「どこの高校だったの?」「前橋商業」
いかんいかん、こんな軽薄な誘いをしてきた連中の話にのってしまった。
しかし聞きたい。
「ピッチャー?」「うん」
「えー、甲子園出たんだ…、で?」「え?野球好きなの?」
なんとなく話し始めてしまった。
気がつくと、お互いの友人はいなくなり、二人でロビーのイスに座り、話し込んでしまった。
高校時代の練習のことや、甲子園のこと、社会人のチームのこと、もう野球好きの私にとっては興味のある話ばかりだった。
彼にとって、プロ野球は、少年のころに見た「夢」ではなく、限りなく現実に近いものであるということがよくわかった。
それに対し、別に憧れてなったわけではない銀行員の私は、とても羨ましく思った。
「私も前は球場でうぐいす嬢をやるのが夢だったんだ…。」
「なんで?今からでもやればいいじゃん!」
「無理に決まってるでしょー?」
私の仕事は、毎日お客さんと窓口で話す仕事。それはそれで気に入っていた。
「名前覚えておくね。プロ野球で活躍したら応援に行くね!」
多分1時間以上話し、しっかりと彼の名を頭に刻み、でも、自分は名乗ることもなく、そして電話番号も交換せずに別れた。
それから半年。
別に、彼の言葉がきっかけになったわけではないが、私は文化放送スポーツ部のテストを受け、うぐいす嬢ではないが、夢にみることさえなかった、プロ野球のレポーターになった。
そして数年後、ドラフトの指名選手の中に彼の名を見つけた。
社会人からだったので、1年目から1軍入りし、遂に西武球場にやって来た。
「こんにちは!」
試合前の練習の時間に、ニコニコと声を掛けた。わかるわけはない。
「覚えてないよね~?」
「え?」
彼は、少し慌てて思い出そうとしているが、たった1時間話しただけの一介の銀行員を覚えているわけはない。
「昔、温泉で『混浴しませんか?』って言われたんだけど…」
それは彼にとっても珍しいパターンだったようで、それだけですぐに思い出した。
「えーーーー?なんで?あの銀行の?覚えてるよー!」
「うん。今、ライオンズのレポーターしてるの」
「夢、叶ったんだー!」
「一足お先に!…そっちも、夢叶ったんだね。ドラフトで、いつ名前出るか…って、ずっと見てたよ」
練習中なので、ゆっくり話すわけにもいかないが、ちょっとだけ思い出話を楽しんで、お互いの仕事に就いた。
なんか感動だった。
前に話したときは、夢一歩手前の社会人野球選手と、夢を見ることすらなかった銀行員。
それが、お客さんが沢山入ったプロ野球の球場で、こうして話をする事ができたのだから…。
それ以来、球場で会うたびに話をしていたが、彼は2軍に行ったり、故障をしたりで、なかなか会えなくなってしまい、私は野球のレポーターから、Jリーグにかわってしまい、それっきりになってしまった。
その後、彼はきちんと復活し、珍しい記録を持つ選手となった。
今もプロ野球界でコーチとしてしっかりと仕事をして頑張っている。
いつかまた、一度ゆっくり話したいなぁ…と思う。
混浴には入らないけどね!
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